イタリアより愛を込めて 11 [旅行記]
前回のあらすじ。
旅行会社へ連絡する羽目になるが用件は不明。不安なままベネチア観光を再開。
2016-12-08 Thu 12:29
写真でやられた、5ユーロ
スキアヴォーニ河岸、海岸にて。
一人のおばさまがおりました。
真っ赤な貴族のコスプレをしてます。
ベネチアでは毎年二月に"カーニバル"が行われ、こういった貴族のコスプレをした人々がベネチアに集まります。観光のオンシーズンです。しかしこの時は12月でオフシーズン。カーニバルはやっていないどころか、そんなコスプレしているのはこのおばさまだけでした。
なので不思議に思い、つい目が合ってしまったのです。目を合わせたが最後。
おばさま「Hey,mister」
……KARAの曲かな?(笑)
おばさま「ジャポネーゼ?photo together!!」
かなりの大声です。手を差し出し僕を呼び寄せます。近寄らなきゃよかった。
手を繋ぎます。そしておばさまが他の観光客の女性を呼び寄せ、写真を撮ってあげてと言ってました。僕はiPhoneを他の観光客の女性に渡しますがかなり困った笑顔をしてました。
パチリ。
二枚撮影しiPhoneを受け取って、他の観光客は立ち去りました。
おばさま「Photo Ok?」
手を離します。
猿島「ok. Grazie.」
僕も立ち去ろうとすると、おばさまはポケットから20€札を出し、ピラピラと僕に見せつけます。またちっさい声で「twenty euro」とも呟いていました。
しまったー!やられたー!!
20€を払えってことかーー!!
(約2,500円!)
このおばさまと霧だらけの写真に、払ってたまるかぁぁぁぁぁ!!!(笑)
猿島「……I'm sorry. I don't have money,but I have credit cards」
ちなみに皆さん、簡単に謝っちゃダメだそうですよ。日本人の癖でソーリーと言いがちですが、本当に自分に過失がある悪い事をしない限り、謝るのは好ましくないそうです(日本人相手なら別ですが)
しかし今朝の用件不明の電話の一件があって落ち込んでいたのもあり、相当動揺してましたので、そんなこと頭から吹っ飛んでました。
僕は立ち去ろうとします。するとおばさまは大声を出します。
おばさま「Mister!!!Pay for me!!!!」
めっちゃ怖かった。顔が見られなかった。思わず足がすくんでしまい、立ち去れなかった。立ち去るべきだったのに……。
再度、僕はお金を持ってないと言いましたが、払え!!!と大声で言います。周りはほとんど人がいませんでした。だからおばさまも調子に乗って大声を出せたんだと思います。
前述のやりとりを繰り返しです。
僕は観念しました。
取り出したのは、小さな財布。ユーロ札は入れておらず小銭しか入ってません。お札は首から下げたセキュリティポーチの中にあり、コートの中なのでおばさまからは見えません。財布の中身をおばさまが覗き込みます。なのでごまかしが効きませんから、止む無く全ての小銭を手のひらに載せて渡します。
4€ほどありました(約500円)
コートの中にはもっと現金があります。ただおばさまから見えませんので。
猿島「All money」
全財産だよ、と差し出します。
おばさま「チッ!」
そしてわざとらしいため息。
怖っ!(笑)
おばさま「BYE」
初めの小さな声に戻りました。
僕はようやく立ち去りました。
12:43
「今日はついてないです」
もしも小さな財布に50€札、20€札が入っていたらどうだったでしょうか……。考えると怖い。お金を分けていて本当に正解でした。
物乞いやスリには気をつけるよう心構えと準備をしていましたが、まさかこの"コスプレパターン"があるとは思わなくて……。警戒心が足りませんでした。本当悔しかった。注意してたのにな。
ちなみに結構ポピュラーなパターンらしいです。貴族以外だとコロッセオで騎士のコスプレなどもあるらしい。
皆さんも充分ご注意ください。
立ち去る勇気、断る勇気、必要です。
素敵な街並みや食事と、貧困層。
イタリアの"理想と現実"。
それを痛感しましたね。
(続く)
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